弱虫ペダル

それまで取り柄と言うほどの取り柄を発揮できていなかった少年が、ロードレーサーに乗った少年と出会い、自分の強み才能に気が付くお話です。
 数日特訓した結果、天才と呼ばれ長年練習をしているライバルに勝つような軽薄な小説・漫画が多い中、主人公の少年が凡人ではなく、事実として天才であるもののその異能を本人も周りも知ることがなかったと言う点が興味深いです。少年漫画の「ごく平凡な少年が」というものとは表面的には似ていますが根本的に真逆の、「天才が開花してゆく物語」と言えます。
 私自身、ロードバイクに乗りレースにも出るのですが、技術的な面について書かれている内容は、ほぼ事実といえます。「フラットペダルでハイケイデンスが可能か?」と真実性に疑問を投げかける人がいますが、ケイデンス200を回すことができれば、それだけ引き脚が使えれば、フラットペダルでも130くらい楽に回すことができます。あえて重箱の隅をつつくならば、ダンシングとゴール前スプリントのダンシングは似て非なる物なので、そのあたりは書き分けて欲しいですね。メカやバイクについてほとんど書かないのは、ロードバイク専門誌ではないので、正しいと思います。詳しくロードバイクについて書かれているわけでもないのですが、ロード乗りの私を興奮させ、夜連に駆り出させる何かが、この漫画にはあります。
 よい友人・先輩・教師に囲まれ才能を開花させてゆく少年漫画として、ロード乗りが練習し、汗を流し涙を流すロード漫画として、およそ最高の一冊といえるでしょう。お勧めです。

 

 

 

 

 

 

 

先日主人が同僚から借りてきてくれて、一気に28巻まで読みました。
このタイミングで読めて、私って本当にラッキーーー!!!と思いました。
なぜなら、9巻から始まった、この漫画のメインとなる大きなレースが
なんと27巻で決着がつくから!です。
長く長く続いたレースがゴールに辿り着いた瞬間は、
すっっっごいスッカーーーー!!!としました!!!
すごいカタルシスです。
1巻発売当初から読んでいた方は本当にお疲れさまでした。
小野田坂道くんというメガネオタク少年が、自転車に出会って
仲間に出会って、成長してゆく。。。という話だったはずなんですが。
最初はちょっとひがみっぽくて空気読めないキャラって感じだったのに
巻が進むごとに・・・なんか・・・
主人公がただの超愛されキャラ&スーパーヒーローに(笑)
読んでるこちらも、いつのまにか小野田君が出てくると
「あーこれで安心!頼むよ!」という気持ちになってしまいました。
仲間や先輩やライバル達とこれでもかと新キャラが出てくるのですが
全員キャラが立っていて、どいつもこいつも熱くて良い奴です!
性格にやや難アリなキャラもいますが、勝ちに対してすべてを捨てて
挑んでくる、ある意味もっとも純粋なキャラといえるでしょう。
敵キャラにも魅力があるというのは、面白い少年漫画の第一条件ですよね。
作者の方が自転車大好きっ子のようで、
とにかく自転車愛、レース愛が画面からあふれています。
その熱が絵から伝わってきて、
レースのスピード感や緊張感、盛り上がり感が半端無いです。
熱くて面白い少年漫画を一気読みしたいなーっと考えてる方に
超オススメ致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不覚にもこの人がこの作品を週刊誌に連載しているのは知らなかった。
 気が弱くて基本的にまじめで一途なおたく少年が、ややピントの外れた野望を抱いて七転八起(七転八倒が正しいか?)する姿を、ギャグを交えて(けれど根底は結構シリアス)描いていくというのは、この作家の持ち味。
 ガシャポンを一個でも余計に買おうと電車賃をケチる為、毎週続けたチャリンコによるアキバ通い。おかげで、知らず知らずの内に自転車の脚力が鍛えられたという設定が笑える。それを言った時の、自転車フェチのヒロインのドン引きした表情も……
 念願のアニ研を作るため、自転車エリートの挑戦を受ける主人公の、自転車の魅力に取りつかれていく姿がユーモラスに描かれていく。
 常人には信じられないアキバパワーで急坂を笑いながら走破していく姿は、「笑う山岳王」という形容がぴったり(ぜひとも白地に赤玉模様のジャージを着てもらいたい)。スポーツ物にありがちな、息を詰めて耐える重苦しさは皆無。笑いの内に自転車の魅力に惹きこまれていくのが心地良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉原に自転車で通いつめるひ弱なオタク少年が
ロードレースの世界に目覚め、自転車レースで活躍していく話。
ただひたすら自転車で坂を登るのが好きな主人公ということで
シャカリキ!」と非常に似た方向性のストーリーだが、
本作の方がチーム戦の部分に強く焦点を当てており、
一人の力で勝負することよりも仲間のために
協力し合う姿が強調して描かれている。
嫌な人間が存在せず、多少の歪みはあっても
それぞれが自転車に没頭し、全力を出し切っている姿が良い。
主人公ばかりでなく、さまざまな登場人物にスポットが当たり、
その都度、深く感情移入できる場面が展開される。
徐々に回想シーンが増えたり、複数の場面で戦いが展開されるため
全体の進行は長引くことになるが、
それでも読者を惹きつけるだけのパワーが素晴らしい。

 

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