バジリスク

トップに立つ者の迷い・助言者の一言により、もし時代が違えば戦うことの無い甲賀と伊賀という忍法の二大宗家が、表の世界への憧れ、個人のプライド、愛する人の恨みを晴らすためなどいろいろな想いを胸に
10人対10人で戦う。 最初は表紙の絵が気にいって読んだのですが、作品のスピード感、各キャラクターの個性や特異な体術のおもしろさなどであっという間に五冊読んでしまうほど、個人的には作者に失礼ですが本年度一番の「あたり」でした。 ただ作品の内容が内容だけにハッピーエンドは期待していませんでしたが、ラストがあまりにも悲しすぎる。 

 

 

 

 

 

伝奇小説界の巨人にして、漫画界にも多大な影響を与えた能力バトルの元祖的存在の山田風太郎先生が原作なだけあり、筋立てや構成、アクション、色恋など、全てにおいてさすがと言わざるをえません。
源之助や豹馬、朧の操る瞳術、体内に恐るべき謎を秘める不死身の天膳、欲情すると吐息が猛毒と化す陽炎といった、忍者たちの特殊能力の発想力には、恐れ入ります。原作小説が1950年代に書かれた事を考えるとなおさら。蛇のような地蟲十兵衛やナメクジ男の雨夜陣五郎とかは、もはや人間とは思えないけど(笑)。
巨匠の名作を今の人たちに最も受けるような形で提示してみせた、せがわ先生の手腕も見事という他はありません。いかにもパソコンで描きましたって感じの画風は個人的には好きではないが、アクションや凄惨なシーンもきっちりこなす画力があり、各キャラの特殊能力も上手く絵で表現しています。
凛々しい男性キャラ、可憐あるいは妖艶な女性キャラなど魅力的なキャラクター造形も、本作が成功する大きな原動力になったと思います。
引き伸ばさず、全5巻できっちりまとめたのも大いに評価すべき。自分としては、00年代で屈指の能力バトル漫画じゃないかと思っています。あと、アニメの方も驚くほど良い出来です。興味のある人は、ぜひそちらもチェックしてみて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バジリスクがアニメ化して1話を見てはまったから購入しました!!私としては5つの作品です!確かに、今までにないようなCG加工がされていてびっくりしましたが、すぐになれました(不自然な部分はありましたが)。雑誌の方でカラーだったのでしょうか?
内容を簡単に言えば、伊賀忍者vs甲賀忍者の忍者対戦物。そして、和風ロミオとジュリエットと言う感じでした。登場キャラがどれも(色んな意味で)印象的で一度見たらもう絶対忘れないようなキャラばかりです。
このマンガは、原作が小説で、小説ファンの方々にはキャラなどがかなり好評だったと聞きます。それに、ジャンプなどでよく用いられる、○○軍団vs××軍団といったチーム戦を最初に発案したのが山田風太郎先生だと聞きました。
とにかく、シリアスの中にもヒロイン達の心温まる話があったり、絵のテンポがスッキリしていて私は大好きな作品です。

 

 

 

 

 

 

 

甲賀と伊賀。剣呑な関係の狭間にありながら愛し合う弦之介と朧。
彼らの祝儀こそ里の平和をもたらしてくれると思われたが、ここにて
両者の休戦協定破れ、忍法合戦の命が徳川家康から下る。
なんたる宿怨、恐ろしき天意。彼らの運命はいかに。
甲賀卍谷十人衆「甲賀弾正、甲賀弦之介、地虫十兵衛、風待将監、
霞刑部、鵜殿丈助、如月左衛門、室賀豹馬、陽炎、お胡夷」
伊賀鍔隠れ十人衆「お幻、朧、夜叉丸、小豆蝋斎、薬師寺天膳、
雨夜陣五郎、筑摩小四郎、蓑念鬼、蛍火、朱絹」
彼らは全て一騎当千、ただただ己の忍術だけを頼みに闘い抜く。
その闘いの凄まじさよ。この山田風太郎氏の「甲賀忍法帖」を
せがわ氏が見事にリメイク。通常は大作のリメイクは、その中身が
名前!負けしてしまうのだが、せがわ氏の画力は十分期待に応えるものである。
忍法帖を読み、頭の中で想像した以上の闘いが絵の中にしたためられている。
登場する忍者も名状しがたき者ばかり。また、原作を忠実にたどるのではなく、
絵で見せるべき場面を取捨選択しているため、読んでる内にこの世界に
惹きこまれるようである。
この作品は連載時から読んでいるのだが、単行本化して
線がはっきりした分、絵が見やすくなっている。しかし、
連載時の黄昏のような全体的な暗さが無くなっているので、
おどろおどろとした忍法帖らしき雰囲気がなくなっている
のはちょっと残念である。それにしても雨夜陣五郎は忍法を通り越して
クリーチャーと言ってもいいくらいですな。