進撃の巨人
絵が上手くないとか細部の熟練度がどうとか、重箱の隅をつつくような評価をくれてる奴ら。
そんな意見、正面からぶつかって粉砕できるパワーがこの作品にはある。
たしかに異常なまでの周囲の期待度と、いき過ぎな宣伝はあると思う。しかし、それはこの作者と作品を正当に評価する材料にはならないでしょう。
未完の大器な主人公、それを支える健気で純朴なヒロイン、ぶつかりながらも互いに成長する仲間達。
どれをとっても王道の少年漫画。
そこに投げ込まれた異形の「巨人」という設定。
しかもこの作者はそこまで熱い設定と世界観で固めた自分の世界を「俯瞰」で見る客観性も持ち合わせている。
シリアスのみで完結させない貪欲さも感じるし、それが物語のシリアスさに良いコントラストを与えている。
明らかに異質です。これまでのどの作品にもない独自性を感じます。
画力や構成力の未達部分はむしろこの作者の魅力です。
だってあの絵柄での巨人の恐ろしさは、文字通り筆舌に尽くしがたいです。
あれがキレイにトリートメントされた画風でなくてほんとに良かった。
あれがベストです。これは偶然ですが、あの絵柄が良いんです、あれが良いんです。
ガンツとかエヴァンゲリオンのような類の話でこの手の内容は正直、少し食傷気味だったのでこの漫画は敬遠していたのですが、
一通り、読みたい作品を読破してしまっている状況だったので読んでみることに・・・
11巻まで一気に呼んだ感想としてはかなり衝撃的で面白かったです。
巨大生物と戦う人間という設定は上に挙げた作品を筆頭に散々やりつくされている題材なので、目新しさはないですが、
登場人物それぞれのキャラがたっていて、特に訓練生104期生の仲間たちの助け合い、掛け合い、これからの進路を選ぶ様には
学園ドラマのような要素が込められており、感動させられます。
また、それぞれの登場人物に不明点が多くあり、それが物語の核心部分に繋がっていくようなミステリー要素もあるのでその点もグイグイ引き込まれますね。
20世紀少年とガンツを合わせたような作風に若者の青春群像ものを織り交ぜたような感じでしょうか?
一言では言い表せない様々な要素がつまったとても面白い作品だなと思いました。まだまだ、面白い漫画があるものですねー。
ぐんぐん引き込まれる世界観、ストーリィ、登場人物の感情表現の細かさ。
気分が悪くなるくらいにグロテスクだけど妙にリアリティある巨人の食事シーン。
なんかよく分からないけど格好いい兵士の移動武器。手に汗握って読みました。
レンタルではなく購入して手元に漫画を置いたのは5年ぶりくらいです、本当に面白かった。
キャラの顔は確かに見分けずらかったりもしますが、
表情の移り変わり、目の動きなどは鳥肌が立ったし
じわじわ染みるような台詞使いも印象的。たまにあるブラックジョークもワンテンポ遅れて吹き出します(なんだかシュールすぎて…)。
絵が下手なんて微塵も感じませんでした。
生にしがみついたり絶望に諦めたり、登場人物の必死さがすごく伝わってきます。
こういう生々しい漫画、私はまだ読んだことありませんでした。
こちらではかなり厳しいレビューが多いんですね。
多分これらレビューを見ていたらこの漫画は読まなかった。
面白い面白くないと感じるのはもちろん人それぞれですが、
今回ばかりは人の意見を参考にしようとしなくて良かったです。
いわゆる中二病的設定(都合のいい主観的妄想が過ぎる)についていけない思いも何度かありましたが、トータルに読んでみてなかなかにおもしろい作品です。
すでに知っている内容の巻も、アニメと時系列が異なる点で読みごたえがありました。
ドラマティックで展開も早く、独特の世界観にぐいぐいと読者を引き込む魅力、迫力があります。
巨人を何かのメタファーと捉えてみたり、各キャラクターの視点で物語を再考察することもできる奥行きの深さもあり、飽きさせません。
過大評価されているというレビューがありますが、逆にこういう独創的かつ冒険的な作品が評価されない世の中だったら寂しいです。
矛盾点に細かく拘って架空の物語にのめり込めない人が多くなるのも悲しいですね。
巨人が出てくる時点で、荒唐無稽な世界の話だとわかっているはずです。しかも少年向けのマンガです。
そこに絵や設定の完璧な整合性や現実性を求めるのはどうでしょうか。
やたら日常的にこじんまりまとまっている、またはダラダラと長い、どこかで見たようなものの焼き直し、アニメ・ゲーム・ドラマ・商品化を狙ったかのようなキャラやワザを作る・・・そんなマンガが多い昨今、作者からこう描きたいという想いがバシバシ伝わってくる表現力の方に注目し評価したいですね