土竜の唄

高卒巡査、菊川怜二 20歳が主人公。
テンポのいいストーリー展開で、冒頭から引き込まれる。
日本最大の暴力団のトップを検挙するため、警官のポジションを捨て、
相手方の中に潜入する隠密の捜査官に、菊川は身を投じてしまう。
様々な敵との闘いを通じて、徐々に菊川は本部の中心に近づいていくのだが、
本作品の中でも、主人公以上の存在感を示す日浦の兄貴・クレイジーパピヨンとの
交流が本作品を高度なものに引き上げている。
スーツの背中に、色鮮やかなアゲハ蝶のデザインを施し、
往年のエルビス・プレスリーのような色男・クレイジーパピヨン
違法カジノでの初対面時には狂っているのか?と思わせるぶっ飛びぶりだが、
その生き様は、一言で言えば「真摯」。
まじめなヤクザなのである。
債権を回収するために議員の虫歯を電気ドリルで粉砕するかと思えば、
借金を踏み倒した息子の老父母の行方を追い、農作業で疲労しきった姿に
回収を即座に断念。
襲撃された菊川を助けるために、ヒットマンから両足を奪われる悪夢。
そして、奇跡の復活。
日浦の兄貴とのバトルがどのような形で決着するのか?
恐らく、その一点に作者は集中せねばならない日が来るだろう。
この物語の見所を一言で言えば、以下のとおり。
「日浦の兄貴の生き様に痺れろ!」

 

警察官としての素養にあんまり恵まれていない主人公が潜入捜査官となり、ヤクザの世界でのしあがりつつも日本最大の組織のトップである組長を逮捕しようと奮闘する御都合主義的おバカコメディ。
主人公の持つ正義感と根性とバイタリティが、警察組織の一員としては全く評価されなかったのに、潜入捜査官かつヤクザとしては大いに身を助けるところとなっているのは興味深い。
笑っちゃうくらいくだらないが読ませる。
これがヤンマガでなくスピリッツに掲載されているというのも非常に興味深いところである。

 

普段漫画は読まないんですが、呉智英さんが某雑誌で推薦していたので読みました。
震えました。中毒になりました。次を次を、となります。請け合いです。
そこらの映画やテレビよりよっぽど上等です。
みなさんも中毒になってください。

 

主人公である菊川玲二がモグラ(潜入捜査官)としてヤクザ組織に潜入する話なのだが、いろいろな場面でピンチに陥ってしまう場面場面がとっても読んでいてハラハラしてしまい、次のページをめくるとありえない結末にオーッとなってしまう、まさにジェットコースター漫画。とりあえず、読むなら少なくとも絶対3巻までの購入がオススメ。特に'@巻と'A巻を読んだあとの「早く次を読みたいっ!」というどうしょもない気持ちは言葉に表せない。

 

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弱虫ペダル

それまで取り柄と言うほどの取り柄を発揮できていなかった少年が、ロードレーサーに乗った少年と出会い、自分の強み才能に気が付くお話です。
 数日特訓した結果、天才と呼ばれ長年練習をしているライバルに勝つような軽薄な小説・漫画が多い中、主人公の少年が凡人ではなく、事実として天才であるもののその異能を本人も周りも知ることがなかったと言う点が興味深いです。少年漫画の「ごく平凡な少年が」というものとは表面的には似ていますが根本的に真逆の、「天才が開花してゆく物語」と言えます。
 私自身、ロードバイクに乗りレースにも出るのですが、技術的な面について書かれている内容は、ほぼ事実といえます。「フラットペダルでハイケイデンスが可能か?」と真実性に疑問を投げかける人がいますが、ケイデンス200を回すことができれば、それだけ引き脚が使えれば、フラットペダルでも130くらい楽に回すことができます。あえて重箱の隅をつつくならば、ダンシングとゴール前スプリントのダンシングは似て非なる物なので、そのあたりは書き分けて欲しいですね。メカやバイクについてほとんど書かないのは、ロードバイク専門誌ではないので、正しいと思います。詳しくロードバイクについて書かれているわけでもないのですが、ロード乗りの私を興奮させ、夜連に駆り出させる何かが、この漫画にはあります。
 よい友人・先輩・教師に囲まれ才能を開花させてゆく少年漫画として、ロード乗りが練習し、汗を流し涙を流すロード漫画として、およそ最高の一冊といえるでしょう。お勧めです。

 

 

 

 

 

 

 

先日主人が同僚から借りてきてくれて、一気に28巻まで読みました。
このタイミングで読めて、私って本当にラッキーーー!!!と思いました。
なぜなら、9巻から始まった、この漫画のメインとなる大きなレースが
なんと27巻で決着がつくから!です。
長く長く続いたレースがゴールに辿り着いた瞬間は、
すっっっごいスッカーーーー!!!としました!!!
すごいカタルシスです。
1巻発売当初から読んでいた方は本当にお疲れさまでした。
小野田坂道くんというメガネオタク少年が、自転車に出会って
仲間に出会って、成長してゆく。。。という話だったはずなんですが。
最初はちょっとひがみっぽくて空気読めないキャラって感じだったのに
巻が進むごとに・・・なんか・・・
主人公がただの超愛されキャラ&スーパーヒーローに(笑)
読んでるこちらも、いつのまにか小野田君が出てくると
「あーこれで安心!頼むよ!」という気持ちになってしまいました。
仲間や先輩やライバル達とこれでもかと新キャラが出てくるのですが
全員キャラが立っていて、どいつもこいつも熱くて良い奴です!
性格にやや難アリなキャラもいますが、勝ちに対してすべてを捨てて
挑んでくる、ある意味もっとも純粋なキャラといえるでしょう。
敵キャラにも魅力があるというのは、面白い少年漫画の第一条件ですよね。
作者の方が自転車大好きっ子のようで、
とにかく自転車愛、レース愛が画面からあふれています。
その熱が絵から伝わってきて、
レースのスピード感や緊張感、盛り上がり感が半端無いです。
熱くて面白い少年漫画を一気読みしたいなーっと考えてる方に
超オススメ致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不覚にもこの人がこの作品を週刊誌に連載しているのは知らなかった。
 気が弱くて基本的にまじめで一途なおたく少年が、ややピントの外れた野望を抱いて七転八起(七転八倒が正しいか?)する姿を、ギャグを交えて(けれど根底は結構シリアス)描いていくというのは、この作家の持ち味。
 ガシャポンを一個でも余計に買おうと電車賃をケチる為、毎週続けたチャリンコによるアキバ通い。おかげで、知らず知らずの内に自転車の脚力が鍛えられたという設定が笑える。それを言った時の、自転車フェチのヒロインのドン引きした表情も……
 念願のアニ研を作るため、自転車エリートの挑戦を受ける主人公の、自転車の魅力に取りつかれていく姿がユーモラスに描かれていく。
 常人には信じられないアキバパワーで急坂を笑いながら走破していく姿は、「笑う山岳王」という形容がぴったり(ぜひとも白地に赤玉模様のジャージを着てもらいたい)。スポーツ物にありがちな、息を詰めて耐える重苦しさは皆無。笑いの内に自転車の魅力に惹きこまれていくのが心地良い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉原に自転車で通いつめるひ弱なオタク少年が
ロードレースの世界に目覚め、自転車レースで活躍していく話。
ただひたすら自転車で坂を登るのが好きな主人公ということで
シャカリキ!」と非常に似た方向性のストーリーだが、
本作の方がチーム戦の部分に強く焦点を当てており、
一人の力で勝負することよりも仲間のために
協力し合う姿が強調して描かれている。
嫌な人間が存在せず、多少の歪みはあっても
それぞれが自転車に没頭し、全力を出し切っている姿が良い。
主人公ばかりでなく、さまざまな登場人物にスポットが当たり、
その都度、深く感情移入できる場面が展開される。
徐々に回想シーンが増えたり、複数の場面で戦いが展開されるため
全体の進行は長引くことになるが、
それでも読者を惹きつけるだけのパワーが素晴らしい。

 

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黒執事

黒執事は大好きでアニメやミュージカルなど色々な方が脚本を担当されたものを見てきました。枢やな先生の原作も然りです。
  
結論から言えば僕はこの寄宿学校編もといクリケット編は面白かったと思います。だらだらした展開だったと言っている方もいますが、僕はこれで良かったと思いました。
  3
分の2がスポーツ(クリケット)でも、いいじゃないですか。シエルとセバスチャンがどの様にズルをして勝ち進むのか、とか、しっかりりと描かなきゃそれはそれで絶対に気になるはずです。
  
とくにクリケット編はP4の性格がよく表れていましたし、これが彼らの素の表情なんだなぁーなんて思いました。
  
僕は、キャラ達がちょっとシエルに近づいていい関係になりそうだなー、仲良くなりそうだなー……って頃にシエルに突き放されるのが黒執事の醍醐味だと思っています。
  
切り裂きジャック編やサーカス編でも、シエルの冷たさにゾクッとしました。次の18巻でどうなるのか楽しみです。
  
最後に一つ。
  
シエルの復讐が黒執事の全てですが、復讐する敵が全く分からないいま(17巻時点)、シエルがどの様に成長して、仲間と信頼を築いて、復讐する手段を調えるのかはとても重要だと考えています。「悪魔で執事」なセバスチャンではありますが、復讐を悪魔の力であっさり成し遂げられてもつまらないですしね。
  
物語の展開は全体を考えて、長くても早くてもいいので、一つのシリーズをきっちり描いて欲しいです。

 

 

 

 

 

頑張って読んでもルールがよくわからない(苦笑)クリケット大会、やっと終了です。
最後に校長の正体がわかるんですが、詳しくは次巻待ち。
校長に関連して、以前のエピソードが絡んでくるのですが
「え?まだそこ繋がってるの?」と食傷ぎみになりました。
前巻、今巻とクリケット大会メインですが、ここまでしっかりやらなくてもよかったように思います。
日本人になじみのないスポーツなので、大会そのものを楽しむのは少々難しいし、
行方不明の生徒を探すとか、シエルのカタキを探すとか、本来の目的とは逸れて行ってしまう。
「どんな手を使ってでも」シエルが勝つのは見えているわけだから、それ以外の部分をもっと描いて欲しかった。
校長に関する伏線が長かったのと、スポーツマンガになってるとこでマイナス2。
セバスチャンの性格の悪い部分とか、明らかに人でない行動や発言もなくて寂しいところ。

 

 

 

 

 

 

 

連載当初からファンですが、
この学園ものの話、結構好きです。
パクり?なにがパクりなのでしょうか。
最近、他の作品とどこか共通点があると
すぐパクりだとか真似だとか言いますよね。
そういうのは作者に失礼だしこの作品を純粋に好きな方々に失礼だと思います。
文句を言うなれば購読をやめれば済む簡単な話です。
今回の目的の『デリックの捜索』の大きな展開があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本巻は、英国の伝統的スポーツであるクリケットと学生生活の花としてのボートパレードとを描き、さらに校長主催のお茶会にまで突入します。
私はクリケットをやったことがありません。初めてこのスポーツを知ったのは池田潔氏の随筆『自由と規律』によってでした。
向かうところ敵なし。シーズン最高得点をたたき出し、あと1イニングで完全試合を達成しそうな強打者がいたそうです。
相手チームはどうしようもありません。投手をのぞき他の全選手が引き揚げてしまいました。
ままよ。投手がなげた御姫様のようにやさしいボールがとんできます。
すると、かの打者はおもむろに外に踏み出すと虚空にむかって一振りし、自陣に向かったそうです。
悠然と歩く男。観客席の老人たちが涙ぐみながらつぶやきます。
「馬鹿者めが。」「いかにも。しかし、こういう馬鹿がいるうちはまだ我が帝国も……。」
スポーツマンシップを説く逸話ですが、非常に多くのことを伝えていました。
例えばハリー・ポッターでも飛んでいく生きた球を追いかけるクィディッチ、と呼ばれる特殊なスポーツが紹介されていました。映画の中での子どもたちの熱中のありさまが、閉じられた生徒たちの学園空間での喜びと楽しみを良くあらわしていました。
今回のクリケットは学園の中での生徒の振る舞いをうまく絵画としてとらえていたと思います。面白かったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀の匙

今回一番心に残った言葉をレビューの表題にさせてもらった。
コミックスでるスピード早!さすが週刊連載!しかもストーリーはますます冴え渡っている。
すごいなぁ!
うまい物を食えば元気が出る。でも、それは同時に別の生き物の命を奪うことでもある。
消費者はうまい物が安ければうれしい。でも生産者にしてみればせっかく育てた物が
安くなってしまうのは困る。しかし、高ければ売れない。
どうすれば高く買ってもらえる?付加価値って何だ?信頼がブランドを作る?
では人にとっての「付加価値」って何だ?学歴=ブランドなんだろうか?
人生は後戻りできない。
では1回ルートを外れてしまったら目的のゴールにはたどりつけないのだろうか?
兄シンゴから、再び前を向こうとする駒場の姿から、八軒はまた悩んで、そして一つずつ学んでいく。
作者が生み出す上質のギャグに腹を抱えながら、読者は自然と勇気をもらえる。
人生に行き止まりはないのだ。

 

 

 

 

 

毎回思いますが、作者さんは本当に食べ物を美味しそうに描くなぁ。
エゾノー産焼肉、ピザ、ホットドック等みんな食べてみたいです。
今巻では駒場との再会があり、かつての級友、知人との会話が印象的でした。
また八軒に毒された(?)みんなの言葉や想い。そして最後の
「肩を温めていく」その流れがすごく良かったです。
そして大川先輩、まさかこんなキャラになるとは・・・
大川先輩、稲田先輩が好きなので、卒業を考えると悲しいです。
「逃げる」を前向きに考えることを教えてくれた作品。
これからも楽しく、美味しく読んでいきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年末から1月の話
食べ物美味しそう(ソーセージ、蕎麦、餅、チーズ、越冬キャベツ、ボルシチ (?)
溶かしたチーズ×蒸し芋
焼いたソーセージ(この時点でおいしそう)× パン!
全部ウマそう・・・深夜でもコンビニに行きたくなる!お腹がすく!
みんなの助け合い
美味しそうなもの
初詣や氷まつり
今までで一番ほんわかして読める巻でした、面白かった!
ソーセージの値段や
(ケイゴ)のお嫁さん(アレクサンドラさん もれなく美人(笑))とロシアの話(ブラックジョークあり)
考えさせられるマンガとしても健在
でも、基本的にポジティブな描写が多かった
最後も、駒場のやる気をちらつかせてる終わり方になってて
とてもおもしろかった!
悲観することも多いけどそれでも楽しいことは沢山あるよ
ということを面白く教えてくれる漫画です!

 

 

 

 

 

 

 

中だるみすることなく、今作もさらにエゾノーパワー炸裂です。
エゾノーの冬とは!?が一冊に集約されています。
主人公は八軒くんなのですが、
エゾノーの先生方、クラスメイト、先輩、それぞれのキャラクターが
どんどん際立ってきます。
先生方のグルメへの取り組みは、さすが年期が入っているだけあって、
こんな食べ方があったか!と発見があります。
(巻末に様々なエゾノーレシピがあります。嬉しい!)
エゾノーは、生徒が自分たちでやってみるということをとても大切にしており、
先生たちのあたたかい目線が感じられるシーンが多く、
こんな学校があれば最高だと思います。
エゾノーのお正月の後は、またまた豚をどうするか・・・。
ただグルメなだけではなく、どうやって収益を出して仕事に結び付けるのか、
現実として酪農に一番大切なことから決して目を背けないのは銀の匙ならでは。
読み応えがある理由は、夢にただ向かうだけでなく、
酪農の現実やそれぞれの家庭の事情にも、現実的に向き合っているからだと思います。
今作に出てくる「ソーセージ作り」の詳細は、作り方・ドイツの歴史共々学ぶことが多いです。
エゾノーを辞めてしまった駒場くんがもう出てこなくなるのでは、と心配していましたが、
これからも出てきそうな予感でほっとしました。
今はまだバイトで試行錯誤している様子ですが、
何か心に秘めたるものがある、何か始めたいことがあるのか、そんな雰囲気です。
他には、大川先輩ってこんなに面白かったっけ?と思うエピソードの数々。
八軒くんのお兄さんの奥さんが話してくれるロシアの話に、
もしかして、エゾノーはこれから何かロシアの酪農から学んだりするのかも、なんて
予想してみたり。
アキとの恋の展開も気になるところです。
中学までは何でも一人でやってしまっていただろう八軒くんが、
エゾノーで、皆と上手に協力することを学んでいる、
そこが銀の匙で一番好きなところです。
そして、普段はどんなにおちゃらけている人でも、必ず光る特技があり、
そんなメンバーが一致団結して試行錯誤しながらプロジェクトを成し遂げる、
そこが描かれているのが最高です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇金ウシジマくん

1巻のインパクトが凄まじかったため、2~4巻は正直「アレっ」という感じ。
勿論「凄味」はあるのですが、1巻で震え上がった「追いこまれる債務者の恐怖」があまり
感じられない。。でも、5巻以降読み進めるとまた戻ってきました、1巻の感覚が。
ギャル汚くん、フーゾク・ヒモくん、親寄生フリーターくん・・・と、追いこまれくんたちの
人物設定・描写がとにかく絶妙。自分の周囲にいないタイプではあっても「いそうだねー、
こういう人」というリアル感・親近感。このいかにもいそうな人がそれこそハンパでない
深みにはまるから恐怖感が倍加する。
あまりの陰惨さに読んで不快感を感じる方もおられるかもしれません。ただ自分の場合は、
そういう不快感・嫌悪感と同時に、いい加減・無計画な債務者が追い込まれ、破滅させられ
ることに(ちょっとうまい表現が見当たらないのですが)ある種の「快感」すら覚えてしま
ったことに気づいて、自分で自分に慄然としました。人の弱みにつけこむこんな商売が
許されていい筈はない、という理性と、恐らく人間なら誰でも持っているサディスティック
な側面と真正面から向き合わされる・・・そんな感覚でした。
読む人の立場や信条によってとらえ方は様々でしょうが、文字通りの問題作。必読。

 

 

 

 

 

社会の底辺を生きる、一貫性やビジョンのない
堕落した生活の中で見栄、欲望、寂しさから
借金を重ねていく人々を
かばうこともこきおろすこともなく
あたかも実際そこにそんな人が存在するかのように
淡々と描いています。
しかし、そこに描かれている人々の心情、葛藤、悩みは
実際そんな世界を知らない我々にも説得力を持って迫ってきます。
ストーリもしっかりしていて
引きずりこまれるようにして読んでしまいます。
総合的なレベルの高さには目を見張るものがあり
「これは文学である」といっても差し支えないと思われます。
ただ、描写がグロいので、間口は広くはないです。
受け付けない人も多いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチンコ中毒の主婦や、派手な買い物をするOLの破滅ぶりを
本当に容赦なく描くので
(
ことにあの元OL工藤静香の歌を歌うシーン、最低でしたぜ)
読んで数日、気分がヘコみました。
あんまりヘコんだんで、大学に持って行って後輩たちもヘコませてやりました。
これほど嫌な気分にさせられたマンガは他にありません。
自信をもってオススメ。
決してヤミ金に手を出してはいけないとわかります。

 

 

 

 

 

 

 

なにげなく行き来している、都会の道のすぐわきで恐ろしい闇が息づいている・・そんな印象です。
序盤は、闇金を切り回している、23歳(にはとても見えないが)のこわもて・ウシジマが、様々な仕事に就いている債権者を追い込んでいく話ですが、この漫画が怖いのは「実際にいそう・ありそう」な転落人生が克明に描かれている点です。転落する恐怖を疑似体験できる漫画です。まとめて読んだ後、世界から色彩が失われたような虚脱感に襲われました。ギャグ表現でぼかしたぬるい暴力や笑いは皆無です。
「物語の価値」が、「感情を動かすこと」、「その世界に没頭させること」、であるならば、この作品はそういう意味で一級品です。
序盤は、典型的なダメな人間が債権者としてスピーディーに転落していく人生が多いのですが、ギャル男編や風俗編移行は、頑張っているけどちょっと弱いだけの人が、都会に蠢くおぞましい連中や恐ろしい連中に、絡め取られ、搾取され、どうやってもはまりこんだ蟻地獄から抜け出せないさまが描かれています。さらに搾取したり犯罪で儲けている連中も、なにかに搾取され脅され不安と貧窮の中で、常に一歩間違うと地獄に堕ちる危険と隣り合わせであり「幸せな人がほとんどいない」状態です。それが複雑な人間模様を浮き彫りにしており、都会というもののきらびやかで華やかなイメージや幻想をぶちこわし「リアルな都会の暗部」を垣間見せてくれます。
ただ、あまりにもリアルにえぐいので、感受性の高い人だと落ち込んだりブルーになる危険があります。この作品は一級品ですが「読んで楽しい元気をくれるエンターテイメント」では全くありません。元気がない時や自信を無くしている時には、購入するのはやめた方が良いでしょう。他人や社会への信頼や安心感が減退して不安になります。「どぎついものでも見たい」時に読むのをお薦めします。
これを読むば、ある程度想像力や共感力のある人ならば「がんばって真面目に生きたからってどうなるの?」という、若い時期にありがちな疑問が吹き飛びます。適当に生きていくこと・後先考えずに借金をし、将来を考えないで生きることの恐ろしさ、そう言った生き方をしていった先になにが待つか、その代償がどのようなものかを教えてくれます。
闇金消費者金融の違いを知らない人とか、いざとなれば借金でもすればいいや、となんとなく思ってる人は読むと非常にためになるかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワンピース

36巻に始まり、この44巻で「水の都編」は完結します。
皆さんもお気づきの通り、この「水の都編」から一気にシリアス度がアップし、作者の意気込みが強く感じられます。
ロビンの過去に加え、世界政府への宣戦布告。ワンピース全体の中で重要な位置を占める物語だったのではないでしょうか。
話の展開もよく練りこまれており、ただただ面白いの一言に尽きます。
正直、空島編では、多少のマンネリ感と取ってつけたような物語に不満があったのですが
「水の都編」で作者の真髄を改めて思い知らされました。
ところでこの巻の中に、これまでで最も気に入った場面があります。
CP9
との戦闘後万全ではないゾロ達に、200人の大佐が一斉に襲いかかるシーンです。
裁く者、運命に抗う者。
スペースが中サイズなので少し地味ですが、残酷で、美しい映画のようなシーンだと思います。
もちろんこの他にも印象的なシーンが数多くありました。

 

 

 

 

しかしこれほどまでに迷いもなく仲間の為に生命賭けれるキャラがいままでの漫画で他にいたでしょうか?私も伏線のロビンの過去の話しの件で正直,泣きそうになりました。あれは絶対に必要です。
真っ直ぐにひたむきに生きる彼らの姿には胸のすくような思いです。
ただ,漫画としてのテンポの悪さは少しだけ最近感じます。。。ウォーターセブンだけでかなりの紙面を割いてしまったような。それは尾田先生も感じてるのでは。。。
でもそれは最近の漫画によく見られる傾向だし,あまり気にすることではないかも知れないので素人の戯言ですねf^_^;
漫画もまだまだ続きそうなので楽しみです!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空島あたりから読むのをやめていたのですが、44巻を本屋で見かけたとき帯に「ありがとう」の文字。
あれ?ワンピって終わり??ああ、一つの編が終わったのか~じゃあ久々に読んでみよう・・と、ウォーターセブン編を一気に購入。
他の編に比べて圧倒的な長さ。しかし、あっと言う間に読んでしまいました・・!
出てくるキャラクターの個性とか、構成力の上手さとか、緻密に書き込まれた画面とか・・。
全く色あせていませんね!
そして、このウォーターセブン編は対抗する敵の大きさが凄すぎます(笑)
でも、やっぱり「仲間」というテーマだけは変わっていない。
「仲間を取り戻しにきただけだ!」
単純なことだからこそ心を動かされます。
もはや王道パターンの過去話でさえやはり感動。
過去があるからこそ今がある、というのもまたワンピースの一つのテーマのように感じます。
船を直しにやってきた所から始まるウォーターセブン編ですが、まさに船で終わる・・
ワンピースの中で一番凄い・・!と思えたお話でした。一番好きかも・・伏線も徐々に明らかにされて来たのでこれからはちゃんと読もうと思います。でもやはりコミックスで一気にガーッと読んだほうが感動しますねw
長過ぎるとか、マンネリかもしれませんが、少年漫画ってこういう感じがいいんじゃないでしょうか・・現在のWJの中では一番いいと思います。勢いもあるので。

 

 

 

 

 

 

 

『ロビン』『フランキー』『ウソップ』そして『メリー号』
どれをとっても一つのストーリーにできそうなのに、それらを全てを一つの話に絡ませ
登場人物の心情、行動により深みを持たせているのが凄い。
こんだけ絡んでしまうと下手すれば物語が破錠してしまったりしそうなものなのに
ウソップの『ここが地獄じゃあるめぇし~』は今回特に心に響いた
自分の信念のもとに彼らが心から笑ったり、怒ったり、そして涙する度に自分の心にも
何かが残る
それはワンピースの登場人物には『血』が通っているということなんだろう
また、それは彼らに対する尾田栄一郎氏の愛があるからこそなんだろうな

 

 

 

 

 

 

 

 

マギ

最近では逆に見なくなった王道の冒険物ですが、
世界観が練りこまれていてすごく面白いです。
不思議な力をもった少年アラジンが出会った人々を巻き込みながらの旅。
アラジンは子供のように純粋に見えて、時折見せる違う一面にハッとさせられるし、
相棒になったアリババも常識人ながらに熱いところをもっていてかっこいい。
楽しいだけでの旅ではなく、その裏にある奴隷などの身分制度
絶対的な権力といった歪んだ社会意識や背景もしっかり描かれていて、物語を引き締めています。
まだまだ話は序盤で、マギについても、ダンジョンについても謎だらけ。
これからの世界のスケールの大きさを予感させてくれてワクワクします。

 

 

 

 

 

とにかく読んでいる間はワクワクがとまらなかった。この感覚は、そうあのダイの大冒険に近いかも。
それとも初めてドラクエゼルダワルキューレの冒険をやった少年の日の感覚でしょうか?
誰も知らない未開の世界を、偶然に出会った仲間と少しずつ解き明かして行く感覚
でも、まあ漫画なのでダイ大がイメージ近いですね。主人公アラジンは、不思議な力を秘めたダイを彷彿とさせるし、
アリババはあのポップを少し有能にした感じ。特筆すべきは奴隷少女・モルジアナ。作者が女性だからでしょうか、
男性作家には描けない女性特有のこまやかな描写にあふれてて、かなりグッときました。
ちょっとマアムとは違いますが、これはこれで
ダイ大とは違う新たな3人組の冒険漫画を予感させます。
まるで30代前半の僕らの世代を狙い撃ちにしたかのようなこの漫画。大人も是非、読んでみてください。
絵柄がきれいで、ちょっとオタク系に思う人もいるかもしれませんが、
これは全然違う、熱血少年漫画、王道冒険漫画だと思います。
ワンピースや鋼、以外に久しぶりに大人も読める少年漫画が生まれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私も、赤ちゃんの世話をしながら、時々読みます。
現実に、世界にあるような問題を取り込んで、1巻をはじめとする当初はアラブ帝国風、次第に、モンゴル風、古代中華帝国風、ローマ帝国風、中世ヨーロッパ風など、にデザイン(決して史実を書く訳ではありません)された世界で、
魔法とバトルの少年漫画を繰り出します。
全体として、権力に搾取される世界の一面をテーマにしています。
悲しい不条理な世界に強くたくましく、立ち向かう、自分のコンプレックスを抱え、決して人と協力していくことを是とできない人間が、やがて人と一緒に歩んでいく、
壮大な物語を語ってくれています。
後の巻で、
他国の強い通貨を取り入れて、
豊かになった気になって、自国の国民を売り渡す国王がいたり、
今、サンデーで連載しているあたりでは、
人民をまとめるために、
歴史上多様な考えがあって争った、という事実などない、と、過去を改ざんする必要を説く為政者がいたり、
なかなか、するどい、
現代でもそういったことをしたり説いたりしたりする人がいる問題を、
実験的に取り扱ってくれている、
なかなか面白いシナリオだ、と思っています。

 

 

 

 

 

 

 

読んでみると解りますが、この作品のキモはテキスト・ナレーションの量の多さにあります。
ナレーションを入れるタイミングとシチュエーションが面白く爽快、
またこれによって支配された物語進行のテンポが心地よい!
当然ながら、絵のみでは表現出来ない緻密な感情描写と状況設定(ダンジョン突入時など)に加え、
今後の展開の伏線張りにも貢献しています。
ナレーションの多用は基本的に読者を退屈にさせてしまうものですが、この作品を読んでいると作者の実力を感じさせられますね。
肝心のストーリーですが、中東のような場所を舞台とした、迷宮攻略ファンタジーのようです。
主人公である天真爛漫な幼い少年アラジンが、大きな野望と欲望・熱い正義感を持ち合わせたアリババと出会う所から旅は始まります。
1
巻にも出てくる奴隷であるモルジアナ等、周りの人物に影響を与えながら展開される王道物語。
快感と感動を得たい方は、是非読むべき。
そして主要キャラクターが非常に魅力的。
作者が正と負の感情を描写するのに優れた方なので、そこも見所ですね。
名前は某物語から借りてきているみたいです。
あと脱力系に分類されるギャグシーンをよく見かけますがかなり個性的で、
肌に合わない方もいるかもしれないので注意です。